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[コメント] 殺人カメラ(1948/伊)

フェリーニはロッセリーニから生まれたとよく判る作品
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ロッセリーニとフェリーニってどういう影響関係にあったのだろう、という疑問は本作を観て氷解した。これはまるでフェリーニだ。序盤の教会の祭りのシーンからして『カビリアの夜』に瓜二つ。やって来るアメリカ資本家という主題は『甘い生活』だし、教会関係者の揶揄いとか、変な悪魔とか、田舎町を歩く水着美女とか、豊満な(高利貸の)おばちゃんとか、フェリーニを連想させる断片だらけだ。サーカスも出るのじゃないかと期待したがそれはなし(しかし、あのサイレント期そのままの悪魔などそれっぽい)。

第一、全体の輕みと性急なノリが『白い酋長』にそっくりだ。本作、冒頭で喜劇と銘打たれるが、いわゆる喜劇ではなくシュールの方に振れており、カメラで写真を撮るという殺人方法は奇妙なものだ。

全方位的に急進を嫌うスタンスも、フェリーニがロッセリーニから引き継いだものなのだろう。スピーディな場面展開が一周して、全てをからかったうえで物事は元通りになり、なべて世は事もなしと終わる。曰く云い難い感想だけが残る。

なお、本作の公開は52年。本頁に48年とあるのは何か意味があるのでしょうか。

(評価:★4)

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