[コメント] カルメン純情す(1952/日)
躁鬱体質なキノシタ作品中もっとも躁に振れた作品で、ギャグも斜めアングルもまるで面白くなく、面白がっているのは明らかに監督本人だけ、発病中の北杜夫の小説など想起させる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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それでも本作が価値高いのは鯰髭の三好栄子とともに叩く逆コースへの攻撃で、ここまで派手なドタバタ政治劇は独立プロ系にも存在しないだろう(ついでに共産党も叩くのがキノシタらしい。オーシマはどう観たんだろうか)。逆カルメンで若原雅夫を追う凸ちゃんは意味なく再軍備反対デモに合流し、最後に脈絡なく「戦争反対」と叫ぶ。全部出鱈目だが、出鱈目使った旗色表明という手法は後代に確実に影響を与えた。
凸ちゃんがあんなもの芸術じゃないとストリップを棄てる展開は詰まらないし、純情を示して脱がなくなるのは後代の嗜好と正反対だが、戦中世代の矜持と見れば感じさせる処がある。ストリップ小屋における脱がないストリッパーのドタバタは唯一面白い。凸ちゃん対淡島千景対北原三枝とは豪華で、そんななか最後は東山千栄子に持っていかせる呼吸はさすが。
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