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[コメント] 八日目の蝉(2011/日)

小池栄子の映画なのかも知れない。お邪魔虫系の狂言回しがこれほど的確な処に納まるのは稀だろう。現在と過去の交錯具合も巧いもので、いい脚本だと思う。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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小池の最後の「一緒に育てよう」とは、エンジェル・ハウスなるアジールのやり直しなのだろう。イエスの箱舟事件が想起されるが、オウム事件の余波であのような施設がなくなっていった、という本編の説明が事実なら弱ったことだと思う。神憑りな施設長や男嫌いになった小池の描写から、作者があのアジールの世界を全面肯定していないのもいい。一番印象に残ったのはここだった。

主題は二世代で中絶拒否をやり直す話。これを一般論にされてはたまらないが、あくまで個人として、井上真央も小池も、自分の境遇を肯定的に捉え直す選択に、あらまほしきものが見えた。原作の力だろうが、肩で風切る井上とおっかなびっくりの小池が並ぶ様はいい絵になっていた。

永作博美は中絶の後悔のもと善意の表白だけを続け好演、かつ絶妙の配役だが、赤ん坊に出ない乳を与えようとする件で胸を出さないのは本気度が不足で残念。電車のなかで授乳させるお母さんたちを見てきた世代としては、母性の話なのだから違和感がある。永作が移動する度にジョン・メイヤーの曲が流れ、大阪城の空中撮影が映される辺りのタッチ、その他CGで落ち葉を舞い上がらせたりするメジャー印の演出は実に余計。こういう細部は一瞬白ける。

(評価:★4)

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