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[コメント] 弥太郎笠(1960/日)

躁病体質な50年代やくざ映画の掉尾を飾るに相応しいハイテンション。灯篭の川柳「逢うて別れがなけりゃよい」、やたら恥じらう丘さとみ錦之助の啖呵切りながらの殺陣、ほとんど演り過ぎの千秋実
寒山

**ネタバレ注意**
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特に錦之助の殺陣は素晴らしい。私はチャンバラとセックスシーンは退屈する方なのだが、本作はほとんど初めて(『百万両の壺』以来か)殺陣を愉しめた。藤田進の屋敷に押し入って、斬り合いながら一方で談判を続ける件が最高、錦之助の半分怒って半分笑っている造形が抜群にハマっている。彼の代表作に違いない。

父の大河内伝次郎が殺され、丘さとみが悲しんでいるのに、カットバックで錦之助と千秋実が沢蟹で遊ぶコメディ寸劇が延々展開されるのはある種異常であり、お客を愉しませ続けるについての強迫観念まで感じてしまうハイテンション。その前の東千代之介が宴席で日高澄子の二股を裁く件も異常、八州回りだか何だか知らないがお上が男女交際まで裁いていいものなんだろうか。

本作で唯一微妙なのは田中春男で、横恋慕の丘さとみに抱きついた後斬られちゃうのは後味悪く、画竜点睛を欠いたと思う。本作の丘さとみは太り気味で丸っこくなった藤谷美和子のようで、錦之助が旅立った後、ひとり軒先で愉し気に盆踊りを踊っているのが健気でとてもいい。ラストは錦之助とさとみは藤田進から領分を取り戻したのになんで旅立つのかよく判らないが、ハイテンションだからもうどうでもいいと思わされる。

藤田進、田中春男、千秋実を揃って東映マキノ映画で観るとは奇怪な体験。大河内伝次郎はやたら渋い。

(評価:★4)

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