ほとんど知らないんだけれど、日本の昨今のラップってこんなこと歌っているの？　昔はこんな流行り歌はほぼ皆無だったが（孤独な男女の歌ばかりの歌番組を家族そろって観るという昭和の食卓のぎこちなさは、あれはあれで奇妙な風習だったが）。この「種族」に入った奴は日々ラインの脅迫地獄と「命捧げるのはアニキ」、入れなかった奴は引きこもったり変な犯罪に走ったり、という世相の構図がぴったり当てはまる、まるで強迫観念のような仲間賛歌ではないか。

何かギクシャクした出来なのは、作品の捉え方が監督とラッパーたちとではズレているからじゃなかっただろうか。もしこれが３．１１による園の地域コミューン志向によるものなら、上記述べた理由により大雑把に過ぎるし、超個人主義な園に似つかわしくない。だから私は園のために本作は軽視したい。本作はアンパンマン程度の筋書とＣＧでもって、優秀な俳優たちと遊んだだけの余芸に過ぎない。竹内力は最初から最後までビートたけしの物真似をしているようにみえて可笑しかった。