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[コメント] 女の歴史(1963/日)

フェミニズム前夜を背景に女だけの家の構築に向かう物語。これは優れて現代的な主題の先駆。独立独歩の淡路恵子が何気に効いている。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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戦中にシケモク吸っている賀原夏子が抜群で、凸ちゃんとの長々続く腐れ縁の生々しさが本作の主題だろう。山崎努の死に続く賀原の「これであんたと私は他人だね」で、女三界に家無しの残酷が炙り出され、しかし星由美子を加えることで、女三代の奇妙な家庭が成立する。これが本作の云いたいことなんだろう。家に男などいらない、とは当時相当に過激な認識であるに違いなく、極めて現代的。収束の三人は因果の果てにやっと自足の場を見つけたという満足感に満ちており、前作『女の座』の窒息しそうな家争奪戦と鮮やかな対照を示している。

連続テレビ小説でなど多用された、戦争を挟んだ女の半生記という物語はありふれているように見えて損している。本作は当然、テレビドラマより全然早く撮られているのであり、類似作品の多さで評価を下げるのは間違っているだろう。仲代達矢は凸ちゃんの第二本命を演じ過ぎた嫌いはある。馬鹿を極めた多々良純は素晴らしい。

女の半生ものは大概が20台の女優が老け役までこなすものだろう、それを凸ちゃん39歳、結婚前から演じて大した違和感もない。何より実年齢辺りが箆棒にいい。単純に美貌のピークなのだろう。やつれが出てきた次作『乱れる』(それは味なのだが)と比べればよく判る。その意味でも彼女の代表作に数えたい。私的ベストショットは凸ちゃんと星が対決する雨中の屋外、背景のアパートがとても異様なのだ。戦前以来、ナルセの洋館は常に陰鬱だった。

(評価:★4)

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