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[コメント] 歌行燈(1943/日)

肝心の山田五十鈴の舞をぶつ切りにするのが信じられない。ナルセの芸道ものはミゾグチに比べて著しく劣る。しかも話が詰まらない。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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五十鈴は徹底的に稽古に打ち込んだらしいが、こんな撮り方じゃ可哀そうだ。繊細なカット割りは松竹カラー(ナルセは松竹出身)、無骨な長回しは日活カラーと佐藤忠男が書いていたが、芸道もの撮るのにどっちがいいかは明らかだ。河原の件で珍しくクレーン使うのも自分の得手じゃないと自ら告白しているようなものだし、これも大したことがない。花柳章太郎だから当然『残菊物語』と比べられると判って撮っているのだろうが、頭から敵わないと試合放棄しているような具合だ。

花柳と按摩との対決は何が云いたいのかよく判らないが田舎者蔑視の視点だし、按摩を自殺に追い込んだ花柳に特段の後悔も見えず、五十鈴を支援するのも別にその後悔からではなく五十鈴への思慕でしかないとしか見えないのがメロドラマとしても弱い。

唯一盛り上がりかけるのは花柳が通りで按摩の亡霊に遭遇して居酒屋に逃げ込む件で、呼子の音が怖くていいのだが、花柳に後悔がないものだからただ妖怪に遭遇したというだけで心理的な深みが全然なくてコメディっぽくなるのも田舎者蔑視を続けているとしか取れないし、カットバックで五十鈴の件と交互に出すものだから全然盛り上がらない。

三味線が弾けない五十鈴にじゃあというので花柳が舞を教えるのも何やらよく判らん。最後の全員集合はもう馬鹿らしいレベル。原作が古臭いということだろうが、同じ鏡花でもマキノの前年の『婦系図』があんなにすごいのを見れば、それだけではないとしか思われない。アジアの方向けた地球儀バックの如何わしい東宝タイトルははじめて見た。

(評価:★2)

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