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[コメント] 私たちの結婚(1962/日)

面白い篠田作品を始めて観た。松竹ヌーヴェルヴァーグ・タッチを始めてはいるが、ベストショットは全然関係のない牧紀子倍賞千恵子のストリップごっご。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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「日本の男なんて駄目よ」と宣う春川ますみに半分従う牧紀子。組合長の息子も併せてのトリレンマはモテる女の悩みが体験できて単純に面白いのだが、その結論はとても苦々しい。木村功が善人なだけに苦しみが増す。高度成長のひとつの縮図だなあと考えさせられる力が本作にはある。

この苦々しさを清川虹子の囁き一発で反転させるというウルトラCな飛躍が本作のキモ、失敗したら無惨だっただろうがいい感じに着地している。本作、倍賞千恵子がいなかったら殺伐としたものだっただろう。別にそれもアリなのだが、このシリアスな世界に人懐こくて地縁を大切にする倍賞を含めたのが本作のユニークな処。このラストでもって倍賞は下町の太陽を運命づけられたのだった。

松山善三らしいホン。いわゆる公害国会はずっと下って1970年、周辺事情の告発に長けた人だったと改めて感銘を受けた。『愛と希望の街』(59)の後の作品だから松竹ヌーヴェルヴァーグとしては穏当。遠景の構図にその筋のタッチが見えて感じいい。このドライさがラストを命中させているだろう。

金銭の詳述がいい。春川の収入が月5万円、牧の結婚の条件が月給3万円、三上真一郎の給料が1万7千円、倍賞は1万円未満。1962年当時、国鉄初乗り運賃は10円、ラーメン一杯50円とのこと。

これなら共働きなら別に三上が結婚できない訳はないと思うし、東野英治郎が元闇屋というだけで木村を敬遠するのも、漁業が斜陽なのに組合長の息子との縁談を画策するのもぎこちない処がある。木村の偶然の再登場による親密化も手垢がついているが、まあこれらは些細なことではある。

栗原小巻似の牧の美しさは、倍賞に「お姉ちゃんは美人だから」と云わせて全然無理がない。親にになくて良かったと二人が笑い合うのは母親が沢村貞子だから許されてしまう。それにしても、いすゞ自動車(給料袋とバスの行き先表示で確認できる)はよくこんな話を撮らせたものだ。

(評価:★4)

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