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[コメント] エルネスト(2017/日=キューバ)

いつもの生真面目なキューバ革命映画で、この生真面目さは好みなのだが、本作は微温的でイマイチ
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ヒロシマからキューバ危機への話の流れからすると、前半の主題は反米(それともちろん核)だろう(そう解さないと話が繋がっていない。主人公はあくまで日系人であり「日本人」ではない)。そして後半はボリビアの軍事クーデターの物語になる。判らないのは、こちらでは反米が何も語られないことだ(もちろん、ボリビア軍政のバックにはいつものように米軍がいた)。

周知のこととしてわざわざ語らなかったということなのか。このために前半は面白かったゲバラたちの政治映画らしい外向きなアジ演説(何で石碑には主語が欠けているのだ、とか)が、後半では抽象的な青春賛歌に矮小化されてしまい、なんであんな忙しい首脳部が何度も主人公の前に現れるのだという違和感と相まって、ベタな青春映画みたいになってしまっている。

女孕まして逃げる同級生などベタベタで、史実だから仕方ないのだろうがそれなら題材自体が退屈という感想。キューバ危機に際しての国歌斉唱パレードの抽象的な描写はアンゲロプロスなど想起されるが、どうにも下手糞でワールドクラスに達していない。

キューバとアメリカの国交再開後、トランプが待ったをかけてその後どうなったのかよく知らないのだが、この歯に何か挟まったようなキューバ映画からは、対アメリカに係る逡巡の現状が垣間見える気がした。個人的な感想ですが。

(評価:★3)

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