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[コメント] 母の旅路(1958/日)

母もの33本の最終作。単体で観る分には面白い。全部観たらパターン化に多分ウンザリするんだろうけど。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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三益愛子大映母もの33本の最終作とのこと。最後になったのだから不入りだったのだろう。階級差が強調され三益が身を引くのは、何度も繰り返され形骸化したパターンなんだろう。階級差の物語が求められなくなる時代性もあったに違いない。しかし単体で観る分にはなかなか面白い。サーカス一座に加わりダンプで去って行く母、社長令嬢の女学生になり見送る娘というラストの別れは、よく考えたらすごいものがある。こんな別離があっていいものだろうか。

社長夫人になった三益の胸はだけた着物の着こなしに漂う危うさには見応えがある。佐野周二はやたらいい人で、ほどんど読心術使いかと見紛うほど理想化されている。しかし、あれほど三益が馴染めなかった上流階級に佐野や娘の仁木多鶴子がさっさと馴染んでしまうのが妙ではある。仁木の母への微妙な忖度はリアルでいい。

映画は特に清水らしさは感じられないが、サーカスの舞台裏の美術はいいものだ。満州で佐野が拾われたというサーカス一座の歴史をもう少し語ってほしかった。そうすれば上記の不満も解消されたのじゃなかろうか。

(評価:★3)

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