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[コメント] レディ・プレイヤー1(2018/米)

3D撮影はとても愉しめる。ここまでくるとアニメとの差異が見出し難いものがある。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「貧富の格差が激化し、多くの人々が荒廃した街に暮らす2045年」なる状況にどれだけ尺を費やすかが、映画が社会派になるか娯楽作になるかの分水嶺だろう。本作は大いに後者寄り。状況は単にネタとして扱われる。それはそれで判断なのだけど、多くを切り捨てただろう原作の残滓が未消化に残っている(おばさんの描写など)のは詰まらない。

プレーステーションVRみたいな眼鏡かけてゲームに熱中している人を(脳の)外から見る画は異様なもので、アシッドにやられたヒッピーを眺めるのと共通するものがある。個に埋没した個人への風刺は容易かろう。観客も偏光めがねかけて観ているのだから、自己言及の効いた物語批判にだってできる。

しかし映画は真逆で、これをユーモアを持って見つめようとする。仮想世界は神的体験に近似したものと位置付けられる。ここを通過してヒーローはヒロインと現実に結ばれたり大金持ちになったりする(経営権貰ったのに月給がクォーターというフォローは下手糞だ)。廃墟の設定も宗教系に見えてくる。日本人なら警戒心を露わにするような疑似宗教を単純に悦んでしまうのは、いかにもアメリカっぽいと思う。

本作の見処は3D撮影。特に冒頭のカーチェイスと『シャイニング』のパロディがいいのだが、いかんせん後半になると慣れちゃって驚きが減少し続ける。「ステイン・アライブ」(生き続けよう、という選曲は美しい)のダンスもとてもいいものだが、もう少し尺使ってもいいんじゃないのだろうか。ユーモアは空振りが多く、悪役の社長は役不足、企業の職員がシャイニング対策をする辺り、もっと笑わせてくれないのは寂しい。三つの鍵のネタは、最初の逆走が単純に決めて上手く、残りは何かゴチャゴチャして上手くない。冒頭の廃墟セットは魅力的だが、この中盤の倒壊は照明が安手でセットにしか見えなかった。

俳優陣はいつものように生き生きしていていい。試写会で観せてもらったのだが、出席された森崎ウィン氏によれば、スピルバーグは若手俳優に現場でとても気を遣うらしく、演技トチッてNGになってもスタッフのせいにしたりするらしい。何か判るような気がする。

(評価:★3)

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