[コメント] 七人の刑事 終着駅の女(1965/日)
映画は推理劇よりも周辺人物群を肉付け豊かに描写するを本旨としており、変化球として時折見られる手法だが、本作が優れているのはこれを徹底したことにある。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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作劇は、最後は推理劇などどうでもいいのだと放り出す。笹森礼子の脱出は刑事たちの立場からすれば大失態だろうが、映画は彼女の決断を賞賛している。もう少し彼女の不幸が浮かび上がれば云うことないのだが、この短尺では不可能ゆえ、これを伝聞として囁かせるのがなすべき方法だったのだろう。
そして娘を見つけられなかった北林谷栄の婆さんに元気を出せと励まし、上京したての少女を再登場させて彼女の元気を讃えて終わる。身元不明の死体を求めて集まる人々や、駅に集う群衆こそが主役だったのだ。とても見事。場所としての上野駅が浮かび上がるのが見事だ。
ベストショットは対策本部で来訪を忘れ去られて延々待ちぼうけを喰らう笹森。私はなぜかこういう羽目に陥ることが多いので、とても面白く観た。この辺りから、刑事たちの間抜け振りが匂わされている訳だ。七人の刑事は芦田伸介と菅原謙二の他は印象薄く、大滝秀治が見事に喰っている。如何わしかった上野駅周辺のロケ撮影、徹底して物音を拾い続ける音響もとてもいい。
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