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[コメント] グリーンブック(2018/米)

スパイク・リーとともに「白人の救世主」を考える映画
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ひと昔ふた昔前の、エディ・マーフィが白人と組んで演ったバディものの変奏、何番煎じかという感想。白人より黒人が金持ちという設定も、周囲のバカどもを主演が嗤うという展開も、ありがちなものでしかない。

ケネディに云いつけられて卑屈にヘイコラを始める警官や、出演を取りやめると云われてアワ喰った興行主を眺めさせられて、我々観客はどういう感想を抱けばいいのだろう。ハイソなマハーシャラルハズバズ・アリとともに、ザマあ見ろと大衆的な劣情を満足させればいいのだろうか。そういう劣情は、別のシチュエーションに移せば平気でマイノリティ差別を始めるだろう。劣情を煽っても何もならない。

本作の貢献は、「白人の救世主」white saviorという課題を世間に知らしめたことだろう。なぜか良いとこ取りに登場するクリント・イーストウッドみたいなものだ。そういえば不自然なものに付き合わされたものだ、との回想を喚起する批評タームである(そもそも、世界中が英語を喋る、みたいな不思議なハリウッド調が根本にあるように思う)。もちろんポリコレとも複雑に絡み合う用語なのだろう。映画は単純に観るには危険なものだ。

本作はイタリア移民のコミュニティを前面に出すからインパクトはさほどでもないが、そのコミュニティの描写に穿ちもない。本作で唯一面白いのは、拾わなければ(買っては)意味がないとされる翡翠の断片だが、丁寧な描写とは云い難い。

補注:「アカデミー作品賞『グリーンブック』が酷評される理由」 https://courrier.jp/news/archives/154134/

(評価:★2)

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