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[コメント] 瞼の母(1938/日)

この定番のセンチメント、長谷川一夫ほど似合う役者はいまい。受けて立つ伝説の五月信子の凛々しさが映画を締めた。縦構図連発の豪勢な伊藤キャメラはミゾグチに肉薄する高レベル。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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このお題はラストが作品によって違うのでありこの工夫が見処であるが、本作の突き抜け方は見事。叩き切ったヤクザがお母さんと絶叫するを聞いて、長谷川一夫もまたそう叫んで母の下へ駆けるのだった。芯のある女々しさを造形した彼に相応しい収束だった。

中盤の堤真佐子岸井明によるコメディも愉しい。撮影美術の確かさは冒頭の『揺れる大地』を想起させる漁火からして明らか。私的ベストショットは長谷川一夫が井上千枝子に書きつけを助けてもらう件で、とても美しい。

(評価:★4)

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