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[コメント] 港々に女あり(1928/米)

「トムとジェリー」の乱痴気騒ぎは終盤のジレンマを経てとてつもない強度に至る。本作のルイーズ・ブルックスのレオタード姿を観ずして「悩殺」という言葉を使ってはいけないのではないだろうか。★6級の傑作。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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コメディ版『舞踏会の手帖』(こちらの方が早いが)な訳だ。この二人、喧嘩が好きで仕方がない、というのがサイレントのバディ系コメディの王道を行っている。作中言及されるように正に「トムとジェリー」な二人なのだ。憲兵隊への闇雲な攻撃(「軍隊が来るまでは善戦だったが」)、喧嘩の最中も演奏続ける楽団、出獄を見て怯える憲兵たち、揃いの帽子で示される友情とこれを他人に被せて難を逃れる定型ギャグの面白さ。

終盤はブルックス登場でさらに盛り上がる。目のやり場に困るレオタード姿と、プール飛び込みのとても奇妙なカット割り。サイレントらしい指輪のシンボルを再活用するのがスマートで、ブルックスのロバート・アームストロングとの別れを影だけで示すショットが抜群。そしてクライマックス、友情と愛情とで引き裂かれたヴィクター・マクラグレンの煩悶が素晴らしい。コメディが突如としてコメディを突き破り、そしてコメディ関係に戻る。

マクラグレンの無骨な造形は、今に至るまでアメリカン・ガイのひとつの理想像だろう。海へ落ちて浮上して並んで煙草を加えるアップの美しいこと。男の友情を謳って実に愉しい。子役使いもホークスらしく、序盤の子沢山は爆笑、終盤の母子家庭はシンミリさせてくれる。見事な見事な傑作。ニュー・プリントが激しく望まれる。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] ゑぎ[*]

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