コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] マンディンゴ(1975/米)

プロイテーション映画という評価(批判)はよく判らない。真面目な映画と受け取ったが、例えば特に善意もない石川達三「生きてゐる兵隊」が中国戦線を生々しく記録しているような処はあるのかも知れない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジェームス・メイソンのレッドネック造形は完璧。「奴隷制度は神が定めたんだ」と激怒する序盤から初めて最後の頓死までもの凄い。黒人の産んだ赤ん坊ならすぐ殺してしまう世知長けた赤ら顔の老人。リウマチがうつる(治るのではないのだ)と医師の進言通り足裏を黒人少年の腹に乗せ続ける出鱈目が全てを語る。やや黒人たちを立派に描きすぎの印象はあるが、そんな揚げ足取りをしても仕方がなかろう。苦境を前に人は聖人にならざるを得ないときがあるのだ。スーザン・ジョージはここでも癖ある女を定着させている。

映画の冷酷なタッチは余りにもハマり過ぎた。ベストショットは階段の上から下まで転倒して落下するブレンダ・サイクス(ナイススタント)。プロレスも生々しく、見ていられない。マンディンゴはマンディカ族の意で、すぐ後にヒットする「ルーツ」クンタ・キンテも出身という設定とのこと。テーマ曲であるマディ・ウォーターズ「Born in This Time」を聴いて生半可な映画と受け取るのは難しかろう。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] 太陽と戦慄[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。