[コメント] 開戦の前夜(1943/日)
アメリカへのハワイ奇襲の情報隠しとは、国際ルールにも「武士道」にも悖る卑怯な振舞いじゃないか。本作はモラルハザードに陥っている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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一億の誠映画で憲兵司令部指導映画。「序」の字幕で、防諜の精進がハワイマレーで実を結んだのでこれからもよろしくと云われる。例の、大統領はハワイ奇襲を知っていたという陰謀論はここでは語られない。
「アメリカは無理の横車だ」「やっつけるんですな」なる上原ら憲兵の対話、一方の米大使館では「経済封鎖をしている日本に何ができますか」「日本人、怒るとコワい、何をしでかすかワカリマセン」。当時の正確な再現だろう。竹内良一と斎藤達雄がアメリカ人というのは上手い配役だと思わせたりする。上原謙は笠智衆のいつでも死ぬぜ、みたいな謡を聞いて感動して家宝の剣を譲ってしまう。田中絹代は笑いながら腹を括り自動車ごと谷底へ転落する。
プロパガンダでなければ、アメリカ活劇を撮ってみたという云い訳を是として観れば、感動的と云ってもいいのだろう。しかし、なにせこんな無茶苦茶がお国のプロパガンダなんだから阿呆らしいばかりだ。ハワイ奇襲の命運を田中絹代の色仕掛けに任せて、自分は追跡もせず電話応対のみで、風邪引いて寝込んでいる上原の間抜けさは、本邦軍隊の典型に見える。
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