コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 不意打ち(1964/米)

ジェームズ・カーンが少年院出身と知るとデ・ハヴィランドは突然怒り出す。「あなたは福祉社会がつくった人間のクズね」。デ・ハヴィランドは維新の会の支持者だったのだ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「私の払った税金であなたは生きてきた」と科白は続く。金持ちを一方的に襲う貧乏人という作品は当時多く、本作もその典型。アメリカンニューシネマが産んだ反動、行き過ぎたリベラルものとジャンル分けすべきだろう。

本作はハヴィランドにも両成敗で断罪し、全滅させるのだから一筋縄ではない。しかしこれは唐突で意味不明なものだ。一応息子の自殺の手紙とか「軍需産業の株でパリ旅行」みたいな科白でハヴィランドの断罪は予定されていたのだが、息子の愛を横取りしていた罰、みたいな結末は唐突で呆れるしかない。

設定は『暗くなるまで待って』(67)が漠然と想起されるが、ほとんど真逆の感想が残る。『時計じかけのオレンジ』(71)は本作を意識していたかも知れないが、別に本作を認めるものではない。本作、派手なOPはよくできていて、EVからのハヴィランド転落のカット割りなど上手いものだ。実力者のスタッフなのだろう。彼等は理性の消え去った石器時代に戻ったようなシニカルな作品つくって愉しかったのだろうか。ハヴィランドが前半は上品な造形で後半の地獄との落差をつくっているのもアザトくてウンザリさせられた。

(評価:★1)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。