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[コメント] 柿の木のある家(1955/日)

ライト熊谷製作脚本のレフト壷井栄作品という奇怪な組合せで、へんな化学反応を起こしたのかやたら陽気でいい作品。何より子役たちがいい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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いつくも心に残る件がある。高峰三枝子が犬のお産を見て母性に目覚める件はいい喜劇で、高峰のキツい処と優しい処の表出の落差が素晴らしい。桑野みゆき中村のり子の姉妹が雨の坂道ですれ違い、お互いを気づいているのに事情でお互い声を掛けられない件も情感が籠っていていいシーンだった。ひとりずつ交互に相手を振り返るのが泣かせる。

高堂国典の長台詞は珍しく、愛情溢れている。忍節子の怪演に感化される上原謙の易学はネタ以上のものがないが、まあ喜劇なのだからいいんだろう。しかし収束は突然駆け足で拙く、上原謙の心境の変化に説得力がないし、最後まで登場しない桑野が置いてけぼりだ。ここは上原が反省して中村のり子を島まで呼びに来て、東京へ戻ったら高峰の横に桑野も座っていた、ぐらいのラストにしなければいけないと思う。

明るいが親戚へ身売りの話だ。本作の設定は戦前なのだろうか戦後なのだろうか。壷井の伝記なら戦前だが、原作からは随分変更されている。彼女には七人も兄弟いないし。小豆島と東京の対照がそのままドラマになる時代だった。

(評価:★4)

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