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[コメント] アチャコ青春手帖 東京篇(1952/日)

アチャコこのとき55歳、学生服着て大した違和感もなく、10歳年下の浪花千栄子に母親を演じさせてしまっている。後に夫婦役で有名になるこのふたり、最初は親子だったじゃないかと苦情があったらしい(ラジオドラマの話)。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







序盤はやたら面白い。アチャコのバイト、羽根つき帽のサンドイッチマンして「東京は再軍備かね」、ヌードのバイトがバカバカしくも素晴らしい。木匠マユリは相変わらず可愛くて、バスガイドに毎日乗り合わせる大泉滉、木匠がガイドに詰まったら案内の科白をすっかり暗記している大泉がフォローするという平和なギャグなど折り込みつつ、金持ちの大泉による木匠のパーティドレスショーなど素晴らしい。

しかし残念ながら中盤で木匠は引っ込み、あろうことか代わりに清川虹子が延々登場してアチャコを雇いつつ小川虎之助とラブシーンなど演じていて、こちらの心は荒んでしまった。

木匠と大泉は終盤再登場、自動車をすっ飛ばしてアチャコの母親の浪花千栄子の乗る汽車を延々追いかけるのだが、ワンシーン、この自動車が信号機のない踏切で汽車の鼻づらを掠めて通り過ぎるというとんでもないショットがある。こんなサスペンスフルな撮影は珍しく驚嘆させられた。大事故の記録かと思ってしまった。今なら迷惑乗車で映画会社はしょっ引かれるだろう。大らかなことだ。スピード違反を取り締まるパトバイクの警官がまた「親孝行なら結構」と自動車を先導し始めるのも驚嘆させられた。

木匠マユリはまゆりと平仮名表記、久美子改メとあり。久保菜穂子はこの年デヴュー(本作は新東宝)、芸者衆に紛れている模様。

(評価:★3)

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