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[コメント] 私のベレット(1964/日)

学生映研レベルの詰まらないコメディのオムニバス。80年代広告批評の先駆的な視点があるが、それも結局は広告でしかない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いすず自動車企画。オムニバスの3話とも、このベレットという小型自家用車のユーザーが不幸を味わう。これがブラックで、とても企業PRに見えない、というのが主張なのだろう。80年代の広告は製品を揶揄う処があるのが新しいと称賛されたものだった(「マス・イメージ論)とか)、本作はその先駆のような処がある。しかしいま振り返れば、この切り口こそが新時代の宣伝だったのであり、本作の批評精神は、この罠にズッポリはまっているように見える。

1話はホース使って黒塗り高級車を掃除している雇われ運転手の実にベタなギャグから始まり、対照的な小型車でベレットでデート(子供たちが空き缶の束を引きずらせるギャグが面白い)。ジュースの瓶を一口飲んで窓から捨て続ける運転手の男、煙草を助手席の足元で消す女、喧嘩になり女は巨大な橋のたもとで降りてしまう。これだけで、何も面白くない。

2話はちょっと面白い。売れない俳優柳生博は芸能会社社長の小山明子に憧れている。俳優はクルマぐらい持っていないといけないと小山の一言で、アパートの敷金流用してベレット買って、小山の移動に運転手を買って出て、疲れて眠り込んだ小山を可哀想で起こせず公園の脇道で眠らせてあげる。しかし起きて遅刻の小山は激怒、タクシー拾って去ってしまう。宿無しの柳生博はその晩もベレットで泊る。

3話は1話と並んでひどい。妻と寄りを戻しての夫婦旅行に夫も妾が乱入し、ベレット盗んで死んでやると暴走して気絶して、実に中途半端に終わる。途中で厭になって投げ出したように見えるのだった。カラーワイド。

(評価:★2)

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