[コメント] おれについてこい!(1965/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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オリンピック当日、会いに来た友達や家族たちとの会話による回想。6人制では無理だからとマネージャーになるのは山本圭子か。脱力したような白川由美の造形が素晴らしい(つねに疲労がたまっているのだろう)。もう30前と自嘲し、子連れの友達の訪問を宿の窓から感慨深げに見送っている。適齢期というシバリからの解放にあたって、スポーツ選手の果たした社会的役割というのはあったのだと思う。
67年、世界大会優勝。選手はもうピークだし婚期もあるしワシももう球が投げれんと引退を語るハナ肇の監督に、柔道と並んで女子バレーの採用をIOCにごり押ししたからヨロシクと島田正吾の小畑五輪事務総長は大喜びで報告する。妻の草笛光子が悔しがって娘の風船を台所で割るショットがいい。
有名なスパルタ練習にどう映画はコメントするかがひとつの興味だったが、抗議する人たちに「私たちは好きでやっているんだ」という逆抗議と、薬缶の水かける監督に選手がやり返す件が描写されている。監督は「ユニフォーム着ているうちは男」とだけ云う。この件はもう、関係が上手くいっていたからとしか云いようがないように見える。選手たちは実に淡々と過ごしている。回転レシーブ? しょうがないわね、みたいな感じだ。
夜中の一時に練習終わり、廊下をヤクザ映画の替え歌唄いながら歩く選手たちがとても印象的。あと、正月に監督が白川に挨拶に来る件の、同じ場所だろうか、昼間に撮られた長い長い廊下と、そこに落ちる窓の影が、規模大きくて迫力があった。現地ロケなんだろうか。大企業はすごいものだ。
気合がいい原作タイトルだけが映画に相応しくなかった。練習光景はカットを割らない望遠が素晴らしく印象的。最後の送り出しの監督の科白がいい。「練習通りやってくれ。勝つことは俺が考える」。そして控室の年季の入ったボールだけ映す、決勝戦を直接描写しないラスト(ラジオ中継のみ)が画期的だろう。スポーツ映画でスポーツを描かないのだが、これはここまでの話法との一貫性があり、決まっていた。
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