Ｅ．Ｔ．は老人だという評を確か公開当時に見たのだけど、なるほど本作はエリオットの母子家庭に老人が闖入する話なのだ。物語の吸引力は亡くなるお爺さんと心配する孫という処で成り立っており、核家族化への反動が背景に浮かび上がっている。当時、多くの子供たちは、お爺さんのキャラグッズを抱いて寝ていたのだと思うと面白い、と云っては不謹慎か（『スター・ウォーズ』のヨーダと比較するとどうなんだろう）。

撮影同様、話も荒い処がある。上記に関しても、なぜＥ．Ｔ．が最後にエリオットを一緒に連れて行こうと誘うのかよく判らない。突然にハーメルンの笛吹き男ではないか。徹夜したＥ．Ｔ．がなぜ溝で倒れているのかも説明なく判らないし、車で逃走した兄弟用の自転車がなぜ集合場所にあるのかも判らない。全体になんかよく判らず、ただ善意だけが例の音楽とともに闇雲に湧き上がってくる映画。『未知との遭遇』に比べて小っちゃい宇宙船は面白みがある。