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[コメント] 勲章(1954/日)

日本人の秘孔を突きまくる再軍備ブラックユーモア集。いいギャグ満載なのに客席は二時間凍りつき続けた。小沢栄が極上。
寒山

**ネタバレ注意**
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国論を二分して60余年、この話題は人前で避ける習慣が日本人に沁み込んでいるのをまざまざと感じたことだった。東野英治郎を形容して「ゾウリムシ」、杉村春子の機関銃連射、極めつけは犬にぶら下げる金鵄勲章。ひとりだけケケケと笑い続ける客がいた。立派な方とお見受けした。

小沢栄が極上。馬力溢れた渋谷演出に見事に応えている。彼のド突かれ漫才だけではなく、一方に似た者親子な饒舌の佐田啓二のアプレを配置したのが巧かろう(喜劇人渋谷の視点はこちらにあるにしても)。ラストの何すんねんの殺し合いは、それぞれが背負ったものの荷重を考えればむしろ自然に見える。

外は水爆に火星何号、内は安保法に共謀罪。本作を2017年に観て感じる生々しさは公開当時とはまた違うものがあるのだろう。時代の変化に伴い味わいが変わるとは、これはもう、名作の所以である。本作は橋本忍の戦争周辺ものの代表作だ。

撮影は重厚、軽いギャグとの対比に独特の味がある。編集はカット尻がいまのセンスだと少し長い気がするが、だからこそ重厚なのだろう。俳優座のオープニングタイトルを始めて観た。千田是也岸輝子は夫婦出演、両名とも流石の味。

(評価:★5)

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