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[コメント] 五番町夕霧樓(1963/日)

水揚げまでの前半が素晴らしく、力の入った東映美術が酔わせてくれる。若草色の帯、畳に落ちる影、階段で踊る福助人形、隠し窓の目線の交換、土間で赤飯を喰らう猫。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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後半はどうなのだろう。原作(未読)への文句になるのだろうが、余りにも有名な事件が余計な脚色を施して唐突に参入するのはいかにも軽薄であり、映画もここからありがちなメロドラマに転落してしまう。河原崎長一郎も熱演が空回りしている。ふたりの関係がもうひとつ呑みこめないのが隔靴掻痒で(セックスの後で唱歌を合唱しているのかと思った)、ハードボイルドな描写のあと長科白で補うのは上等とは云えない。清順なら大喜びで一巻かけて佐久間良子との児戯溢れる関係を描写しただろう。そうあるべきだと思う。

私としては、この作品で印象に残る人物は、前半に大量得点で逃げ切った木暮実千代であった。銭になる範囲で善人というのがリアル、後半これを覆すのは、まあメロドラマの常道だが、ちと退屈。

水上作品としても、事実をそのまま描いた「金閣炎上」のほうが優れているだろう。そこでは美人の芸子でなく、母親の汽車からの投身自殺が淡々と述べられている。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ けにろん[*]

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