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[コメント] 幸福の設計(1947/仏)

赤い手のグッピー』に引き続き本作でも、本筋が破綻するのではないかと思われるほど脇役を過剰に扱う語り口がとても魅力的。リアルな手触りが残る。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







結婚式にあるまじき歌を披露する花嫁の奇怪さがとりわけ気に入った。花婿の行動も奇怪。小銭がないのかと尋ね続ける駅の切符売りも奇怪だ。奥さんに言い寄る店主も当然に奇怪。店主と旦那の喧嘩をボクシング中継にする男も奇怪である。彼らの行動を教訓的な主題に纏めようとせず放り出すスタンスがリアルを醸し出す。

この主演の夫婦、その後はきっとろくでもない別れ方をするに違いない、という不幸な予感漂う馬鹿馬鹿しい収束が素晴らしい。夫婦が不仲に向かうという伏線は劇中で回収されないため将来に繋がるものとしか思われず、この予感をシニカルに確信させてくれる。いや、それとも別れずに成金生活を成就するのだろうか。このほうがよほどシニカルでもあろう。この予感で終わらせる話法は、今でも新しいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] KEI[*] ゑぎ[*]

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