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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎純情詩集(1976/日)

これでは寅がただの色情魔ではないか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







寅屋の面々が善人で寅が悪人、という図式がはっきり出過ぎており、愉しくない。

なぜだか知らないがシリーズここまで、寅が満男と絡むシーンは全くと云っていいほどなかった訳で、寅は満男のことなど一顧だにしていない。満男は夜の宴会でもいつも次の間で大人しく遊んでいるばかりだった。だから冒頭の先生の家庭訪問に乱入する寅がとりわけ異様に見える。これでは寅がただの色情魔である。

寅の行動には、何か一片の倫理が垣間見えなければならない。これは絶対であり、そうでなくてはシリーズの意味がない。本作はなぜか、このルールが全く無視されている。

以下も驚くことにこの連続。岡本茉利の一座に大盤振る舞いして借金して留置所に放り込まれ、さくらが遠路はるばる迎えに来たのに、不貞腐れるばかりでお礼の一言もない。檀ふみはお兄ちゃんの娘の年齢よと云われたら母親の京マチ子に接近を始める。檀から京を病院に連れて行けと頼まれても連れて行こうともしない。よく檀は怒らないものだ。京が死んだ後、寅が感謝されるのは始終デレデレしていた結果オーライでしかない。

本作の寅には魂が入っていない。

(評価:★2)

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