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[コメント] 早春物語(1985/日)

角川お得意の生意気女子高生の生態もの、リアルタイムでは恥ずかしかったが、おっさんになって観直すと存外面白い。若い奴はこのくらい生意気にやれ、と肩を叩いているようで、原田の造形は好ましい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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冒頭に示される春と写真という映画的に美味しいテーマ、原田知世のお尻突き出してカメラを構えるフォームが魅力的なのに、何も生かされることなくラストで結構を取るだけで終わる。一事が万事この調子で、林隆三の三角関係の告白に至るまで唐突なエピソードの連鎖で観客は置いてきぼりにされる。それぞれのエピソードが原田に恋愛頑張れと云っているのは判る。しかしそれらが重層化されず雲と散ってしまうのは、由紀さおりが終盤に登場すらしない点でも明らかだ。妻との馴れ初めを告白する田中邦衛など断片は魅力的なだけに、もっと上手くできないものかと惜しまれる。

原田が歩道橋でパンプスを直す原宿ロケでは、駅前の群集が全員キャメラを見上げてしまっている。肝心の記念写真は林の顔だけ編集した心霊写真になっている。どれもお粗末。空港での『探偵物語』の実にどうでもいいパロディに至るまで、現場の混乱と製作サイドの横槍が容易に想像される。ロケハンまでは頑張ったけど撮影では何もできませんでしたと名手澤井の愚痴がフィルムから聞こえてきた。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)サイモン64

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