長崎の姉弟の件でシリーズのベタは早くも頂点を極めている。このお姉ちゃん（千葉由美）がやたら上手い。マドンナよりも上手いのだ。音楽は木下忠司。最強と云わざるを得ない。終盤の爆走がこの子等絡みなのが充実している。

元警官愛川欣也のジレンマがまた凄い。彼をいたぶったあと「この日本に市民なんてどこにいる。金持ちと貧乏人の二通りじゃないか」と豪胆な啖呵切る田中邦衛は、警察馘首になり結婚するなべに引き継がれる。花嫁衣装の加茂さくらを捉えるトリプルズームインはベタの極地。警察批判の主題は次作以降ほとんど現れなくなる。

平凡なあべ静江の件に大して時間を費やさなかったのも成功した要因だろう。冒頭、文太がウンコ漏らしても動じなかったというのが彼女の印象の殆どだ。「サヨナラだけが人生」は太宰ではなく師匠の井伏鱒二。バキュームカーとはノブひとつで吸収物を逆走させるものなのだろうか。