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[コメント] 黒い太陽(1964/日)

河野典生蔵原惟繕山田信夫コンビの相性は抜群。はぐれ黒人兵へのシンパシーを手探りする本作も快作、見事なアメリカン・ニューシネマだ。何よりモノクロ撮影が素晴らしい。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ジャズのことも黒人のことも何も判っていない本邦ジャズファンの自嘲からはじめて、映画は川地民夫をとても遠くまで連れて行く。「奴隷め」と皮相な先入観をさらけ出してしまう惨めさを通過したうえで、チコ・ローランドがアビー・リンカーン歌いはじめる瞬間に映画は深淵な場所でジャズ賛歌を奏で始める。この展開力が素晴らしい。最後には英語と日本語で会話が成立しちゃう辺りからメルヘンに首突っ込んでいる。これはアメリカン・ニューシネマなんだ。

本作は『狂熱の季節』の黒人との水泳という断片が拡大されたものだろう。『硝子のジョニー』も含め、海に向かうのが好きな監督だ。ジャズの嗜好もいい。チコの吹くペットがフリー系でイカシている。後にウルトラ保守に転向する黛敏郎にとって本作などは黒歴史なんだろうか。教会の廃墟住まいというのも穿っており、例えば教会の庭から望まれる朝日など秀逸。ラストのアドバルーンも見事に決まった。傑作。

(評価:★5)

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