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[コメント] 硝子のジョニー・野獣のように見えて(1962/日)

芦川いづみのジェルソミーナ。国宝級。なぜ国宝にしないのか。体感では鑑賞時間は15分。終わってくれるなと祈りながら観た。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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海を捉えたキャメラが180度パンして面白い顔の芦川を捉える冒頭のカットですでに傑作と決定する。芦川のアップ多用が素晴らしく、彼女の両の眼玉一回転の芸に卒倒させられる。ベストショットは競輪場の広場で宍戸錠の口上真似る芦川をローアングルの移動で捉える件。ここと飲み屋街を往復する追っかけっこは蔵原らしくどれも抜群。冒頭のフェンスの穴潜る喜劇的な脱出、宍戸にしがみつく所作の再々の反復、泥濘にしゃがみ込んで落ちている果実に喰らいつく件、「教会に行け」と出鱈目云われて本当に教会を訪ねる件、どれも心に残る。アイ・ジョージが怪我した途端に優しくし始める心根の訳の判らなさは、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のヴョークに通じるものがあるのが興味深い。

タイトルはダサいし、話はアイ・ジョージが途中で長台詞をはじめて善人と捉え直される手際がとても巧いとは云えず、桂木洋子も魅力を欠き、ラストも平凡でもうひとつ何かがほしかった処。芦川以外でのベストショットはアイ・ジョージに塩撒く南田洋子武智豊子も当たり前のように凄い。しかし、そんなことはどうでもいい。無論『』との異同などどうでもいい(堀川の『裸の大将』との関係は気になるが)。これは芦川を愛でる映画である。

芦川は頼りにする男をジョニーと呼ぶのだが、ラストではジョニーが宍戸とアイ・ジョージのふたり出てきた訳で、芦川はふたりを認めずに死んでしまうのだが、もし振り向いて追いかけてくるふたりを目撃したらどうしたのだろう。ジョニーがふたりいると錯乱に至っただろうか。ここは美味しい処で、ホンがスルーしたのは惜しい。しかし、繰り返すが、こんな小賢しい批評はどうでもいいのである。DVDは18,500円もするのか。世の中どうなっているのだ。

(評価:★5)

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