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[コメント] パピヨン(1973/米=仏)

トランボらしい告発と娯楽志向が噛み合い過ぎて訴えに欠けた流暢なばかりの超人活劇になってしまっている。ドレフュス大尉の椅子の件に残酷な歴史が垣間見えるが仄めかしに終わった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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もう話も後半なのにホンジュラスの村でノーブラの娘相手のお愉しみが始まる辺り、どうも弛緩している。もしかすると「世界ふしぎ発見」のノリで観るのが本作の正しい鑑賞なのかも知れず、そう考え始めると独房で虫喰らうのも『世界残酷物語』系列に見えてしまった。ハンセン氏病の島など存在自体が興味深いが、これも娯楽調で処理されてしまっている。ドキュメンタリーで観たいと思った。

その他ネタの数々は娯楽活劇の常道を決してはみ出さない。ダスティン・ホフマンの好サポートもあり観ているうちは愉しい処もあるが記憶には残らない。ギニア監獄の非道とスティーヴ・マックィーンの冤罪は別次元の話であり、この組み合わせが何か云い訳じみているのも迫力を削いだ。原作どおりで仕方ないんだろうけど。

本作の感銘はメーキャップで示される訳だが、老けたマックィーンが高堂国典そっくりなのが面白かった。あと、序盤に行進の脇で豚が餌の入ったバケツを見事なタイミングでひっくり返すシーンがあるのだが、上手く撮るものだと感心した。どうやって撮ったのだろうか不思議、フレーム外で紐ででも引っ張ったのか。その他、鰐との格闘とか珍種の蝶の捕獲とか、愉しい動物映画という側面があり、やっぱり「世界ふしぎ発見」系か。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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