腹裂かれた豚肉運ぶ哀川翔。車道の大量の原付バイクから登場して溝川走るバラック住まい。この往年の東映やくざ映画を彷彿とさせるロケがさっそく素晴らしい。台北は雨の街らしくずっと雨が降り続く。

昔抱いたことのある女に小学生の少年何建賢押しつけられるが、自分の子供なのか定かでない。「子連れ狼」系列だがその子を哀川がゾンザイに扱うのがリアル。雨の中膝抱えているのを見て部屋に入れ、娼婦陳仙梅連れ込むとまた外に追い出すが、彼女救っての逃走には一緒に子供も連れて行く。クルマをヒッチして運転手がうろたえるという定番ギャグ、このクルマが最新式なのが別天地のようだ。

砂浜のトーチカで一泊してまた逃走、子供が精一杯の笑顔で掘り始める砂浜からスクーター掘り出して、三人乗りする件が美しい。決闘で全員死亡、ビルの屋上で立小便して登場し、３年間哀川を追い続けて出会うとボコボコにやられていた田口トモロヲが、ドサクサ紛れに哀川を射殺して逃げる、狂ったようなパフォーマンスが加藤泰みたいなローアングルで狂ったように捉えられるショットが素晴らしかった。少年は救われる。

台湾語が字幕なしで流され（字幕つき版もあるのだろうか）、ギャング映画なので大概見当がつく、というかそのように作られてあり、ただ異国語の洪水に晒される体験ができる。しかし、言葉が判った方が面白いに違いない。スライドギターの劇伴が有りがちだがハマっている。