[コメント] ああ爆弾(1964/日)
オモロ顔のアップと芸能の型とダンスで構成される喜劇はエノケンの焼き直しで、しかもエノケンより笑えない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ただ、丹精で抽象的なモノクロにエノケン喜劇が組み合わされるのは市川崑を想わせて魅力的な処もあり、カラーになってからの野放図より観られるものがあるが、笑いが古いのは一緒。客席も冷え切っていた。私が笑えたのはラストの当選議員のOB連発だけ。
64年は公明党が国政参加した年であり、本作はこれをネタにしているだろう。組を乗っ取った中谷一郎は選挙で文化都市を謳い、嫁の越路吹雪は日蓮宗に宗旨替えしている。戦中派代表の岡本喜八は伊藤雄之助らと共にバキュームカーでもってこれに立ち向かう。ペンが剣より強い訳ないじゃねえかという具合。しかしこれも冴えない。戦中派はし尿処理職員程度だぜと云う自虐的開き直りは、いま観ると職業差別の不愉快が先に立ってしまうし、中谷が文盲だとバラされる件もそうだ。結果、「パワー」の標的が不鮮明で、焦点のボケた風刺にしかなっていない。ただラストの件は、公明党の昔の公選法違反が揶揄されているのかも知れず(時系列的に合わないかも知れません)、そこまで密着していたらすごいことだが。
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