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[コメント] 湯殿山麓呪い村(1984/日)

絶対擁護の覚悟で観たが見事陥落。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品は、観る者をウンザリさせる要素が複合的に詰まっている。

● 登場人物が多過ぎる。しかも後半、加速度的に増殖する。

● 登場人物の名前と顔が一致していないのに、会話の名前だけで物語が展開する。

● 魅力的な登場人物が途中で消える。特に中川梨絵三谷昇

● 時間不足なのにどうでもよい描写。あの競馬予想は何なんだ。

● 連続殺人の手法が後半になるほどショボくなる。

● 謎解きが後出しジャンケンで、そこまでの前振りを追いかけた労力が無に帰す。

● 犯人が意外過ぎる。何のコクもない。

● 直近の話題作と似た話で、それよりも確実に詰まらない。横溝シリーズ。

● 直近の話題作と似た造形で、それよりも確実に詰まらない。『竜二』の永島暎子だ、安売りで可哀そう。

封切時に一度観たのだが、覚えていたのは仙道敦子の中絶シーンだけだった。確かにここは子供には衝撃的だっただろう。一方、ミイラは全然怖くない。学者の視点から分析的に眺めることを求めているのだから、それもそのはずで、怪奇映画としての側面は空振りになっているが、これはこれで面白い。あの即身成仏を強いられた男の苦悶の様は哀感があり、いい美術だと思う。しかし、別に死んでから燻す前に座禅組ませれば良かったのではないかと茶々を入れたくて仕方なくなる。

あと良かったのは最初のトリックだろうか。永島敏行が風呂の小窓から侵入できないというショットで、子供の犯行だねと判り驚くことになるのだが、最後にこれを一からダラダラと説明されるともう止してくれと叫びたくなる。終盤の殺し過ぎはもうギャグの領域だろう。

この作品、あろうことか大ヒット作である。映画は面白いから観られるのではなく、面白かろうから観られる訳で、大半の観客の総スカンを喰ったに違いない。こんなホン、どうしたって面白くできる訳がないじゃないか。何これ荒井さん。池田敏春はつくづく呪われた作家だと思う。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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