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[コメント] 座頭市物語(1962/日)

三隅の丹精なモノクロ撮影が嬉しい。川や橋を捉える度に画面が躍動し始める。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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タイトルの勝新太郎が四つん這いに橋渡るシーンはじめ、天知茂と釣り糸垂れる件、万里昌代と池の傍で月見上げる件(カットがかわると現れる月が箆棒に美しいのだ)、天知との橋の上での決闘、南道郎を川に突き飛ばす痛快な件(「どうせ碌な奴じゃねえだろう」というブラックユーモア)、ラストの川沿いで待つ万里から逃げる件。水の主題、なんぞという高等批評はよく判らないが、どのシーンも突然に情感が溢れる。水に反応しているとしか思えない。

冒頭、賽子のインチキで金せしめていた市は、最後に金貨三両を親分に叩きつけて返す。本作は彼の成長が描かれているのだ。スーパーヒーロー物だと誤認していたので意外だった。脚本の犬塚稔は1924年デヴュー、川端と『狂つた一頁』を書き長谷川一夫を育てた偉い人らしく、なるほどこれは新派の方法だなあと思った。しみじみとした良作。柳永二郎の親分の滲み出るユニークさがいいアクセントで良好。

(評価:★4)

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