[コメント] 冬の華(1978/日)
隠し味だった戦前フランス映画仕込みの哀愁を全面に出したヤクザ映画の変化球。好きだけどなあ、評価低くて意外。まあ冒頭の風車のベタさからして、シネフィルの好むタイプの映画ではないが。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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『幸福の黄色いハンカチ』をひっくり返したようなアン・ハッピーエンド。こっちのほうがハマっているよと東映が手招きしているよう。私もそう思う。親分に合わせてシャガールを部屋に転がし(この部屋にいつまでも家財が運び込まれないのがいい)、親代わりの娘に合わせてチャイコフスキーを聴かなきゃならないのも渡世の義理。何と尻の座りの悪い、奇妙な世の中でござんしょうか。毎度の小池朝雄が殺されるのも、今回は目の前で息子の大学進学を喜んだからでござんす。
この鉄砲玉、絶対殺されるぞという三浦洋一が最後まで死なないという掟破りも、池上季実子との将来を考えた変化球なのだろう。悲哀は全て健さんが被るのだった。ラストのどアップには東映スタアの終焉という感慨を覚える。本作は健さんの東映ほぼ最終作。しかし卒業記念なら任侠映画にしてほしかった。彼にとってヤクザ映画は変化球だったから。
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