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[コメント] 天国の門(1981/米)

舞踏から戦争へ、ボンダルチュク戦争と平和』の向こうをはる大作に、かなたの愛国戦争に対して移民の抵抗を語らせるハリウッドのスタンスは賞賛に値する。5時間版はないのか。
寒山

**ネタバレ注意**
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本作、NYタイムズが最初に腐したらしい。あのリベラル紙にしてから、ジョンソン郡戦争はタブーだったのだ。ネトウヨの嫌いな「売国奴」の物語、正義の物語である。よくそんな話を取り上げたものだ。会社は潰れようが、関係者は意気に感じるべきだと思う。

当時のアメリカ移民はもちろん難民ではない。開拓の募集に応じて集まったのは日本からの移民も同じである。本作の史実を少し調べたところ、農業での開拓を商売にしたい鉄道会社と、これに反対な畜産関係で対立があり、移民にそのしわ寄せがいった、とのこと。酷い話だ。

そもそも5時間の話を3時間余りに編集した時点で話はズタズタになっているに違いなく、何の挿話もないジョン・ハートの件など1時間以上省かれたに相違ない。だから開戦後の展開がいかにも要領を得ない。作品に対するアンゲロプロス並の愛情があればこんな事態は避けられたはずだが、まあそれもハリウッド、残念ながら話は我慢して観るべき作品でしかない(当時の劇場公開版は2時間余りとか。それはさすがに酷かろう)。

ストーリー展開を無視すれば、とてもいい作品。舞踏やスケートの華麗さはボンダルチュクを超えているだろう。クリス・クリストファーソンの失恋の場面で脈絡なく再登場するバイオリニストや、西部劇のクリシェを逆立ちさせて馬で駆けつけるイザベル・ユペールがいい。単に金をかけただけでない、物量投入が生かされた、しなやかな表現が良質。何時間でも観ていたい映画だった。

(評価:★4)

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