[コメント] しろばんば(1962/日)
豪勢な美術、冒頭は極上、大正時代の天城越えの乗合馬車の風情もいい。これが昭和になると『有りがたうさん』の上原謙のバスになるんだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本作で観るべきは北林谷栄の生き様だろう。彼女のユーモア、毒舌、溺愛はそのまま生きる術なのだ。主人公が北林から芦川いづみへと親しみの視線を移動させる過程が本作の成長物語の根底にあるのだが、彼が青年になって村を出るとき、この老婆にどう応対するのだろう。本作の延長線上には冷淡な応対が想像され、辛いものがある。映画はその過程まで描かず美しい処で終えてしまっているのは、ちと納得できない気分にさせられる。「他の人とは違うんだから」という芦川の遺言に応じて勉強に精出す主人公という収束は、昔の地方出身のインテリの原風景なんだろうとは思う。まあこの原作者はこの程度だろう。素っ裸の子供たちの行進というラストは美しいが、いじめられっ子な設定と齟齬を来している。
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