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[コメント] 山口組三代目(1973/日)

飯食わせて貰って涙ぐむ健さんはじめ、妙に可愛い面々の造形は嫌いになれない処がある。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作、『仁義なき戦い』を凌ぐ大ヒット作らしい。今では考えられず隔世の感がある。私が九つのときの作品だが、当時「芸能界って全部ヤクザ絡みなんだぜ」と本当のことを聞かされて震え上がった覚えがある。ヒットしたのだから、そんな背景を支持する人がまだたくさんいた訳で、好むと好まざるとに係わらず、ヤクザという中間団体が芸能と骨絡みだった時代を記録している。今観れば、中間団体が壊滅して警察ばかりが正義の味方である現状を危険と指摘できるオルタナティブな視点を提供してくれるがゆえに尊い、という意味もあるだろう。これはヤクザ映画全般に云えることだ。かの人の伝記だから本シリーズだけ掌返すように嫌うのはどうかと思う。

とはいえ、本作の一般人を殺しまくる展開は、これまでの堅気衆には手を出さないという任侠映画の一線を超えているというsawaさんのご指摘に頷かざるを得ない(面白いことに、誰が一般人だという昨今の共謀罪の議論が出てくることになるけど)。労働争議に殴り込む件は、任侠映画と全共闘の奇妙な蜜月のあった60年代の終焉を象徴している。浅間山荘事件は前年の出来事。右翼も左翼も孤立化の道を突き進んでいく過程な訳で、オルタナティブ総崩れの時代を反映した作品ということになるだろう。

序盤の演芸場での無茶が昇進に繋がる件は、凄い世界だという感慨しきり。山下演出は古典劇志向。咽び泣くトランペットとマンドリンはいかにもやり過ぎ。

(評価:★3)

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