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[コメント] 芝居道(1944/日)

撃ちてしやまぬ戦意高揚映画として秀逸な出来。気持ちよく1点献上。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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長谷川一夫山田五十鈴に『鶴八鶴次郎』を再演させた本筋はトロ臭くて相変わらずどうでもいい。主題は古川緑波の舞台演出。明治27年の道頓堀、芝居で日露戦争の兵隊さんを称揚して大当たり。これが飽きられて没落しかけて、しかし戦意高揚はふたりの仲とともに復活する。

緑波の深謀遠慮を志村喬がついに膝を打って関心する。街頭のお客の噂話で筋は展開されるがそれは緑波の狙い通りの反応なのだ。バカバカしい手法であり、ポピュリズムが全てをなぎ倒して進行中の時代らしいとしか云いようがない。本作の緑波みたいな超能力者なんかいないよ。

いったい、ナルセはこんな作品撮るのイヤだっただろうし、八住利雄もイヤだっただろう(原作者は喜んで書いたのだろうが)。ラスト、来月の狂言の相談は扉を閉めて観客に聞こえない。ここは煙幕はった制作者の節操と取れなくもないが、愚かしいという感想は変えようがない。なお、ナルセのもうひとつの好戦映画、翌年の喜劇『勝利の日まで』は占領軍が廃棄して観れないらしい。

(評価:★1)

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