[コメント] 野性の証明(1978/日)
たった一つの真実がこの出鱈目を成立させている。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「頼子ちゃん・・・。ヘリの音が消えたら行くんだぞ・・・」 そして、健さんはライフルを手に走り出す。 その姿。走り。ここだけ異質にリアルなんですよ。 演出がとか、人物像が、アクションとして、ではなく。 ホントに・・・何と云うか、本気というか、映像の捉えた姿が・・
薬師丸寛子の人間離れ。中野良子の無駄にイイ女オーラを出し過ぎる佇まい。舘ひろしのリアルすぎるドラ息子感。松方弘樹がアニメキャラみたいに画面内レイアウトの収まりが良すぎて煩いとか。夏八木や三国の客の予想を120%裏切らない仕事ぶり。全てこれカギカッコにくくられた過剰であって、檻の中の猛獣である訳です。それを的確に配置して、良かった良かった、と、お客を安心して家路につかせるナアナアなプロットもまたそうです。
そんな中、件のシーンの健さんの走る姿だけが、その檻のこちらに出てしまっている。 その瞬間、この荒唐無稽な物語が真実に置きかわるマジックが生まれてしまい 結果、原作には全く影も形もない、高倉健VS戦車軍団という出鱈目な絵を成立させてしまうパワーを産み出す。
でも、あの滅茶苦茶なシチュエーションは、観客の心の真実じゃないですか? 正しいでしょ。この映画は。
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