[コメント] マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016/米)
殻に閉じこもるだけではやはり前には進めない。否が応でも他人となんらかのかかわりをもつことで見えてくるものがあるのだ。窓から眺める景色は辛い思い出だが、その先の海は広がりを見せ、サメがいようとも、人生の舵を取っていれば進んでいけるのだ。エンジンは新しいのだ。
アメリカ東海岸の小さな町の寒々とした冬、地元の顔見知りたちの雰囲気など、普通すぎるそれらが却ってリアリティを生み、それぞれが問題を抱えながらもその地で生きている切なさが増幅される。乗り越えられない男だけがその地を去らなくてはならなかったが、元妻の吐露で救われたことが一歩踏み出すことにつながった。甥っ子パトリックとの日常が、リーの「普通の人」の記憶を呼び起こさせたともいえよう。
セリフで語らせず、過去と現在を映像で、しかも交互に挿入するシークエンスが生きており、まさに今自分その場にいるような、作品との一体感を味わえた。
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