[コメント] 聖なる犯罪者(2019/ポーランド=仏)
ダニエルバルトシュ・ビィエレニアのギョロ目と貧弱な体つき、しかしそれが真摯に自分に向き合おうとする姿に見えてくる不思議。2018年の『COLD WAR あの歌、2つの心』に続くポーランド映画の秀作。不毛な土地の排他的なカメラ視点が魅力である。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ポーランドでは熱心なカトリック信者が多く、憧れと尊敬を抱くため、市民が司祭になりすますことが少なからずあるらしい。司祭に身分を確認することは失礼にあたるため、偽装が見破られることも少ないという。
そんないくつもの偽装事件の実話を練り合わせた脚本とのことだが、本作の主演俳優は適役だ。
表面上の人格と偽の身分。自覚がなかったとしても自分自身を「信じる」ことで相手を信じさせてしまう単純さとあやうさ。
ネット時代のSNS上で、仮面をまとった自分が素晴らしい評価を得られることと重ねられるだろう。
果たして本当の自分とは? 相手を受け入れるということは?
いくら装っても本心をさらけ出してしまえばみな同様だといいたげなラストではあるが、ラリッた眼球のような人間の業をみせつけられた思いだ。
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