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[コメント] 劇場版 MOZU(2015/日)

ワイルド7』を評価したことは間違いではなかったようだ。大迫力のフィリピンロケ、やたら凝った照明、画面に横溢する風・煙・水・火花、そして何よりロングショット・ロングテイクで撮られた銃撃戦・カーチェイス・格闘の数々が日本映画史上に残る完成度であることは疑いようがない。しかし脚本の幼稚さ、あるいは監督の根本的な映画的感性の乏しさが原因なのか、素直に傑作と呼ぶことにはためらいを感じる。
Sigenoriyuki

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







照明は確かに凝ってはいるものの、それを逆に強調しすぎていて目にうるさい、却って見づらいとすら感じる場面がままある。例えば、女装した松坂桃李が事務所を襲撃する場面におけるネオンサインの赤青点滅などは特にそう感じる。この場面は役者の顔にまともに光が当たっておらず、対象を撮影することよりも照明を凝っていることを誇示することが目的のようでまったく感心しない。あるいは高架橋上での西島秀俊真木よう子の会話において電車通過により発生した光と風を役者の顔に当てるという演出。これは会話場面を退屈にしないために選択された演出なのだろうけれど(セルゲイ・エイゼンシュテイン全線』に同じような演出が見られるがおそらく偶然似通っただけだろう)、その意図があからさまで興ざめする。こんな演出を試みるよりはもっとダイアローグを練った方が作品全体の質の向上に繋がるはずだと思うのだが。

(評価:★3)

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