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[コメント] スター・ウォーズ フォースの覚醒(2015/米)

シリーズ最高傑作だと思う。シリーズ故の制約かローレンス・カスダンの脚本のおかげなのか、同監督の『スター・トレック』とは違い、1カットが程よく長く奥行きがあり、煙が立ちこみ光がきらめく落ち着いた画面が作られている。136分という長さや回想シーンもあるため多少だれるところはあるものの、人物が行動し続けるため映画が停滞することはない。ことあるごとに被写体にカメラをぐっと寄せるのは好きになれないが。
Sigenoriyuki

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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冒頭ファースト・オーダーによる村襲撃の際倒れた仲間に駆け寄るフィン(ジョン・ボイエガ)のヘルメットに血が塗りたくられる。たったこれだけで画一的なストームトルーパーに他と違うキャラクター性を与えてしまう。その後ポー(オスカー・アイザック)と脱出しタイ・ファイターが墜落した後の場面では、立ち込める煙とフィンを1カットで映しその位置・距離を把握させる。レイ(デイジー・リドリー)のそれまでの生活は台詞はなくとも彼女の部屋の美術と小道具で簡潔に示される。

アクションは序盤の村襲撃場面を見た時は心配になったもののその後は段々良くなってくる。ミレニアム・ファルコンとタイファイターのドッグファイトではミレニアムファルコンの操縦の困難さをしっかり描写しているのが良い。操縦が易々と行われるよりはその難しさを執拗に見せつけられた方が我々はフィクションの中の乗り物に実在感を感じられる。中盤の『駅馬車』的展開から始まるXウィングとタイファイターのドッグファイトは歩兵の視点から見上げるという形をとって描写され、どうしてもコックピット内のクローズアップが多くなり単調な画面の連続になるという戦闘機アクションの欠点を払拭している。ラストのカイロ・レンとレイおよびフィンの戦いの舞台はライトセーバーにより木をなぎ倒し雪を溶かし蒸気を噴出させるという演出から逆算され雪の積もった林の中が選ばれている。

スターキラーが太陽をエネルギーにしていることをただの設定だけで終わらせず、太陽の消滅を物語を盛り上げるための演出として取り込んでいるのも良い。最後にスターキラーが破壊される際にただ爆発するだけでなく文字通り太陽がそこに蘇るという描写。まさにこれは宇宙SF映画にしかできない画と演出であると思う。

(評価:★4)

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