コメンテータ
ランキング
HELP

濡れ鼠さんのコメント: 更新順

★4メクトゥー・マイ・ラブ カント・ウノ(原題)(2017/仏)セット!ニース!学生と観光客と地元のすけこましが糸目もあらわに入り乱れる夏のバカンスの昼下がりと夜通しの馬鹿騒ぎの活写が生々し過ぎてとても冷静に見ていられない。やはり、この人の映画は、褐色の肌に映える白い歯の微笑と南仏の抜けるような青がよく似合う。毎回、お約束のように目当ての女性をいけ好かない仲間に目の前で掠め取られる主人公が、昼過ぎまで悶々として寝床で過ごす下りは世界の映画青年に捧げられている?[投票]
★2心臓にナイフ(2018/仏=スイス=メキシコ)開巻からソフトゲイなジャーロといった感じ色彩感と淫猥さで、この組み合わせもなかなかイケると胸を弾ましたのも束の間。じきに園子温のようなアングラ演劇路線で暴走し始め、ついていけなくなる。多くの場面で、エロスと下品を取り違えているのがつらい。見せ場となるはずの濡れ場は、どれもこれも通り一遍で驚きがない。カラックスのような若い才気の迸りが画面やキャラの爆発的な化学反応に見られるわけでもない[投票]
★3ハッピー・アズ・ラザロ(原題)(2018/伊=スイス=仏=独)前半の荘園パートで、子供の頃によく読んだイギリス児童文学を彷彿とさせる下りが幾つかあって、結構これ好みかもと期待が弥が上にも高まったのだが、舞台が町へ移ると同時に辻褄合わせに拘泥し始めて、ついでに映画の魔法も何もかき消えてしまった感じがある。御伽噺のなかでしか実現できないような驚異の瞬間を、画面の力で見せきるというよりも、台詞に寄りかかった説明的なカットで弱めてしまっている印象が残る。6.5/10[投票]
★4ソングス・マイ・ブラザーズ・トート・ミー(原題)(2015/米)王家衛を崇拝する北京出身のアラサー女性が、全幅の信頼を寄せるSOを撮影監督に据えて、地球の反対側で先住民の少年少女を巡る愛と紐帯の賛歌を撮るとどうなるか。エキゾチックな装いと裏腹にこれは二重の意味で破格な映画だ。まるで儒教圏の純愛ドラマのようにしんしんと染み渡る情感の上澄み。風景と人のロングショット、若い男女の睦み合いや沈想に寄り添うアップ(そしてその階調を奏でるオリジナルの弦楽曲)がずば抜けて良い[投票]
★4狂気の愛(2014/独=オーストリア=ルクセンブルク)これが新世紀フェミニスト映画のひとつの到達点!?(呆然) 神経症的な黒い笑いを惹起する男性中心主義的歴史観の揶揄の毒々しさは只事ではない。個人的にツボにはまり過ぎて腹がよじれるほど笑い通しだった。閉塞状況に活路を開くのにむしろ北方のユ−モア(カウリスマキ?)に目を向けたのが吉と出たか。大作家の神話の嘘を暴こうとする目線の仮借なさは、独善的なロマンチズムに耽り勝ちな世の男性諸君にも向けられている?[投票]
★3私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016/チェコ=ポーランド=仏=スロバキア)昨年のニースのテロ事件の後、手口が似ているというのでにわかに国際的な脚光を浴びた。若い女性の単独犯というのも珍しいが、性革命の時代にプラハのゲイシーンで活発だった経歴も異彩を放つ。その点、同様に(二度)映画化されたパパン姉妹のケースと比較してみるのも面白い。あちらは近親相姦、階級社会の搾取という違いがあるが。社会主義政権絡みでは、家族関係、教育事情、労使問題などの面で、チカチーロの事件が頭を過る[投票]
★4ゼイ・ルック・ライク・ピープル(原題)(2015/米)超ローバジェットな侵略ホラーの新たな変種と思いきや、かなり真摯にメンヘラの問題系に取り組んでいて驚いた。 [review][投票]
★4スタリー・アイズ(原題)(2014/米=ベルギー)虚栄の都ハリウッドで堕落させられる女優のcautionary taleとしては、後年の『ネオンデーモン』もずっとストレートで迷いがない。またわけがわからん秘密結社ネタが絡むのだが、<敷居>を超えるオーディションの場面でのフラッシュの連射の合間に深まる闇から今にも魔物が出てきそうな気配とか(カーペンター風に)、ヒロインが心身ともに壊れてゆく過程の黏稠性とか(ちょっとアジャーニっぽい)、脳裡に記銘される場面も少なくない [review][投票]
★3吸血鬼(1957/メキシコ)これも方々で噂を聞くので名前だけは知っていたが、いざ開封してみると大したことなかった部類に入る。タボアーダの経験もあって期待値が上がり過ぎていたせいもあるが、話自体は、レ・ファニュ直系の英国風吸血鬼談をメキシコの田舎に移植しただけだった。ただ、当地の伝統建築というのか、中庭と回廊のある屋敷のセットや、街道筋から本館までえらく離れていて森深い点に風土を感じた。恐怖演出自体は特筆するものはなかったかな[投票]
★4わたしの名はジン(2013/トルコ=独)あれは、たぶん、ISがモスルを占拠して間もない頃だったと思う。ネット上に拡散されて、ちょっとしたブームになった一枚の写真(**)があった。まだ高校生にもならない少女が、カラシニコフを肩から下げて、若い母と小さな妹たちの後ろから半砂漠の道をとぼとぼと歩いている姿。背後が心配で仕様がないのか、振り返った拍子にシャッターが切られ、その瞬間が永遠になった。 [review][投票(1)]
★5象は静かに座っている(2018/中国)曇り空の街並も人間模様も殺伐として、どこを見渡しても心の潤いなどなさそうなのに、めったにないような瑞々しさが奔騰する瞬間があって、目が洗われるようだった。伏目がちなアップの物思わしげな無言劇が充実している。団地や路地、陸橋など没個性的な都市の舞台袖が霜枯れの抒情を帯びるのは、作家にとってそれらの場所が特別な感慨なしには想起できないほど重みを持つからだろう。たとえそれが地獄の一丁目に過ぎないにしても [review][投票]
★4バスターのバラード(2018/米)テレビ映画のような薄味な小話ばかりで、残酷な黒い笑いもサキの二番煎じの域をなかなか出る感じがない。西部劇でこれをやるという思い付きが身内で受けたのかな?ただ、さすがにソーイ・カザンの話は、隠し味も効いていて、ほろりとさせられたし、草原での襲撃のセットピースも一筋縄でいかず、うならされた。彼女の存在感だけでも他を圧倒しているし、こういう幌馬車隊に運命を預けた独身女性の話はもっと見てみたいと思う。 [review][投票]
★4アニマルズ 愛のケダモノ(2016/豪)豪州版<松永太&緒方純子 ある愛の物語>といった感じか。最近、boganリアリズムとでも呼びたくなるような、異様に殺伐とした実録タッチの犯罪ドラマが、静かだが着実に国際的な注目を集めているような気がする。これも一瞬実話ベースかと信じかける迫真性(**)をもって仕込まれており、ケッチャムに繫がるイヤミスのねっとりとした手触りが引き継がれる。虐められっ子が家庭内暴力で憂さを晴らすのに似た`退行構造の反復 [review][投票]
★4キリング・グラウンド(2016/豪)お馴染みキャンプホラーの舞台を豪州奥地に変えただけのN回目のヴァリエーションのような始まりだが、もちろん一筋縄でいくようなら、こんなに口コミで評判が広まるはずがない。糢糊とした不安の残渣から最も残忍な加虐心を掻き立ててやまない激情の鬱勃まで、抜き身の感情のフルコースを供されたような満腹感(どっとした疲れを伴う)ただちに目に見える脅威なしにこれだけのテンションを持続させるのはなかなかのものだと思う [review][投票]
★4垂直のまま(2016/仏)畜糞が散見する村道沿いの藪が不自然に動くので覗いてみると、尻をむいた風来坊の男が年端もいかない少年の上にかぶさっている。独自の進化を遂げるブリトン衆道のベーコン風美学。異性愛の結実を示すのに出産シーンのドアップを無修正で放り出して見せる。 [review][投票]
★3一緒にいて(2005/シンガポール)メインとなる実在の盲聾作家のパートと並行して点綴される奇人・変人・同性愛者の挿話がほとんど台詞なしで情感の蒸溜に意を尽くした無声映画のような感触。土地柄もあるのかビルの建て込んだ窮屈な構図が水平への意識を遮断して*疎外感を強める。稀に言葉が発声されるときでもそれは一方的かつ暴力的なもので**会話のキャッチボールを成立させない。現代的なコミュ障の希望が光と音を奪われた障害者の身振りによって回復される [review][投票]
★4ウェスタン(2017/独=オーストリア=ブルガリア)ピリン・マケドニア(ブルガリア南西部)というドイツ人からすれば歴史的な東方植民の延長線上が舞台なのに、ウェスタンという逆説的なタイトルをつけているのが面白い。カウボーイもインディアンもドンパチも出てこないが、女から見たフロンティアの汗と孤独と友愛と暴力ということで、異文化の衝突と行き違いのドラマが幼稚園の砂場の延長のように繰り広げられる [review][投票]
★5サマ ZAMA(2017/アルゼンチン=ブラジル=仏=スペイン=スイス=米=ポルトガル=オランダ=メキシコ=レバノン)9年のブランクが徒に過ごされたわけでないことを、画面の端々に感じさせる渾身の第四作。セルバンテス、カフカ、コンラッド、バルガスリョサ、雨月、8 1/2、ブンミ翁等々様々な固有名詞が頭を過る。フィクスの画面に周到に配置された人物の間合いが植民地の社会関係だけでなく、単身赴任の役人の精神状態を霊妙に反映しており、先住民の襲撃シーンなど(ブラッド・メリディアン入ってる*)活劇に際しても傑出したセンスを閃かす [review][投票(1)]
★4パラノイアック(1963/英)さすがJ・テイ原作。複数の局面が縫い込まれたプロットの多層構造、ゴシックの雰囲気濃厚な曰くありげな舞台(隠し部屋のある舘と天を摩する断崖絶壁)、曲者揃いの役者陣(タイプキャストのオリバ−・R!)、今日の目から見ても新鮮さを失っていない驚愕の謎明かし(技巧に走ったものとは異なり心理的に腑に落ちる)。後年ジャ−ロにも継承されるデカダンな怪奇趣味も健在なら、ミステリファンも納得のトリックの大盤振舞 [review][投票]
★3月面の足跡(1975/伊)タブッキとモディアノをつまみ食いしたような話だが実は本作が先だと気づく。松林のある浜辺の遠景や森の中の塁壁、コロニアル様式の建築などオリエンタルな舞台は旅情をそそるし、過去の踪跡を求めて小さな町を彷徨う流れは本来なら好み通りなはず。ただ、カメラ位置とショット連関の意図に首を傾げる部分が多く、思ったほど映像に没入できなかった。夢の中の月面探検の伏線を最後に顛倒させる落ちも悪くないが、驚きもない。[投票]