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袋のうさぎさんのコメント: 更新順

★4襲われた幌馬車(1956/米)コマンチかぶれのお尋ね者をガイドにアウトドアのABCが学べるワンダーフォーゲルの合宿のようなウェスタン。夜中の川遊びの思いつきが運命の分かれ道になる下りが佳境。うぶな若者達の前で二言目には先住民の風習を擁護し始めるウィドマークが可笑しい 7/10[投票(1)]
★4炎のグレートコマンド 地獄城の大冒険(1985/スペイン=米)見事な脱ぎっぷりで海千山千の盗賊の頭目を手玉に取るお姫様も、ハリウッドで30年過ごすと、西部の荒れくれ者たちのサンドバックに過ぎなくなるという皮肉。7/10[投票]
★3テレグラフ・ヒルの家(1951/米)戦争難民によるアイデンティティ・スワップという一風変わったプレミスで始まるゴシックもの。陽光あふれるサンフランシスコの市街を一望する丘の屋敷の立地が画面から翳りを奪い、夜の帳の訪れさえ、馥郁たる潮の香に満ちた開放と冒険の契機に変えてしまう [review][投票(1)]
★3第十一号監房の暴動(1954/米)暴徒の足並みが、無思慮なリーダーの乱心のために須臾にして乱れる端緒を、一閃のアクションで見せるのはさすがシーゲル。それに比べて、団体交渉や集団暴走の場面が妙に醒めていて、本番前のリハーサルでも見ている気にさせる。[投票(1)]
★4緋色の爪(1944/米)このシリーズはこれが最初だったけど、吃驚するほど面白い!見事な脚本が無駄なくテキパキ演出されてゆく痛快さ。村の迷信と都会の合理精神の対決!怪人二十面相じみた犯人が魔法のように早変わりしてゆく様に感心することひとしきり[投票]
★4猫とカナリヤ(1939/米)無声時代のP・レニ作より映像面では見劣りするが、もともと小気味良い会話を中心に謎解きする密室ミステリが原作なので、トーキーの導入により息を吹き返した本作のほうが本領発揮な感じ。腹に一物ありげな怪人物の面々と、カラクリ屋敷のトリックの面白さ[投票]
★4SAFE(1995/米)たぶん最も現実的に可能性のあるゾンビ・アポカリプス。排気ガス、水質汚染、化学調味料・・・同じようなフォビアに捉われている人を知っているだけに他人事に思えない。この終末観の寒々しさは半端じゅない。[投票]
★5ザンジバルの西(1928/米)見た目も、心の中も、ゴキブリ以下のものに様変わりしながらも、たった一つの目的のために執念深く生き続けるロン・チャニーの<ザムザ>。 [review][投票]
★4恋の睡蓮(1922/米)岩礁に当たって噴き上がる水飛沫のカットで始まり、日没間際に逆巻く満潮のカットで終わる。身の丈に合わない恋の帰結は、海のセイレーンに欺かれたような眩暈を伴う。理不尽な運命をじっと耐える娘の横顔が、歴史の闇から苦悶の時間を逆流させる[投票]
★4掟によって(1926/露)春の到来とともに氷河が融解して、ぐるぐると流氷を漂わせながら氾濫してゆく一方の河畔の掘っ立て小屋に閉じ込められた生存者たちの心許なさが圧倒的! [review][投票(1)]
★5血の婚礼(1973/仏)どいつもこいつも目先の情欲と利得に囚われた業の深い輩ばかりで、最も親密な人の背後で当たり前のように背信行為に耽り、結果的に諸刃の剣となる陰謀詭計を巡らすのに余念がない。神経衰弱ぎりぎりの宮廷政治・心理劇の即興変奏をやらせたら、仏蘭西は他国の追随を許さないと思わせる凄味がある。[投票]
★4復讐の二連銃(1947/米)V・レイクのビッチぶりがノワール的な確執と策謀のドラマを引き立てる。渓谷で神に等しい力を有する男に歯向かうのが許婚の女という皮肉。柵を嫌う流れ者の意地。血生臭いギャング抗争。一人の女の我執のために振り回される男達の滅びの美学[投票]
★4無警察地帯(1955/米)このように犯罪組織に乗っ取られた街が戦後まで米国にあったという史実にまず驚愕。官憲に見捨てられた市井の人々の無力感が半端ない。コーマンの『侵入者』に通じる地方政治のいかがわしい熱気と歯止めの利かない腐敗に圧倒される[投票]
★4マカオ(1952/米)異国情緒が漂う港町に、出自の怪しい外国人が押しかけ、恋と陰謀の駆け引きが始まるというだけで期待が高まる。そこに装飾性の強い画面と割り切れない男女の物憂げな気分が加わるのだから感無量。碁盤目の光と影が揺蕩う波止場の追走劇の迷走感が素晴らしい[投票]
★5三人の仲間(1938/米)一人の美しい貴婦人を巡って三人の兵隊仲間が共謀する求愛と友愛の日々が、その理想家らしい公平さと青年の無邪気によって、中世の騎士道ロマンスのような永遠性と無常感を同時に成し遂げた。 [review][投票]
★5高い標的(1951/米)焦らすだけ焦らして一瞬だけ思わぬ場所に出てくる大統領。その瞬間、形勢不利に始まり二転三転してきた見えない敵との戦いが鮮やかな簡潔さで終結する。長距離列車の移動のリズムに合わせてメリハリをつける宙吊り芸の妙 9/10[投票(1)]
★4夜歩く男(1948/米)戦後間もない頃、犯行の大胆さと人道外れた手口の残忍さでLAを恐慌に陥れた男。<ジョーカー>の先駆者の系譜に連なる伝説的大犯罪者だ。戦争後遺症に苦しみ、発作的に激しい暴力の衝動に捉われる。何でも所属した部隊を自分のミスで全滅させて、後々まで酷い陰口を叩かれたらしい。その孤独で被害妄想的な面影が、ノワールの翳深く殺伐とした画面とマッチしている。人間狩りに近い状態になってゆく第三幕の緊迫感が白眉である[投票]
★5音楽ホール(1958/インド)トライバル・ダンスの愛好者としては、とりを飾るローシャン・クマーリーのカタック舞踏ほど衝撃的な映像体験はなかった。この汎宇宙的なリズムの澎湃と世紀から世紀へと血の滲む研鑽と琢磨が重ねられてきたコレオグラフィーの鍔迫り合いは西アフリカ土着のポリリズムよりほかに世界広しといえども匹敵するものはないように思われる[投票]
★5第七の犠牲者(1943/米)住人不在の空き部屋の壁に揺らめく首吊縄の影。深夜の廊下の果てから誘いかける無間の闇。見えないものが囁きかけ、存在しないものが追いかけてくる。暗示による戦慄の表現の究極。9/10[投票]