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濡れ鼠さんのコメント: 投票数順

★3地下幻燈劇画 少女椿(1992/日)幻燈的な紙芝居を意識している割には、つなぎの絵が普通の深夜アニメの質に戻ってしまうのが残念。他人の画風を真似るだけでは超えられない壁を感じた。快調に始まったかに思えたエログロサーカスも、2話3話に入る前にネタを出し尽くして閑古鳥が鳴く有様[投票(1)]
★3ホール・イン・ザ・グラウンド(原題)(2019/アイルランド)舞台がブリテン島で、大森林があり、隕石のクレーター付近で超常現象的な怪事件が連続して起きるとなると、やはりマッケン的な異形幻想を期待してしまう。初動はなかなかギアが入らず眠気を誘うが、人ではないものの疑惑が芽生える中盤の見せ方に工夫があって少しの間目が冴える。ただ、大団円に近づくにつれ、旧作ヒットメドレー・リミックスのように見えてくるあたりが、この分野にとんと新風を吹き込めずにいる時代の限界か[投票(1)]
★4収穫期(2004/露)見果てぬ大草原の呪いとでも言いたくなるようなものが画面に息づいている。それは時として神の恩寵かと見紛う光の乱舞で人の目を欺きもするが、夜更けとともに悪魔の囁きとなって、眠れぬ母親を空の端が白み始める時間まで悩ましたりする。ロシアの辺境に蔓延る迷信や異端信仰には興味が尽きないものがあるが、理性の堡塁としての家族や共同体が、渺茫たる野蛮の咆哮の前では、風前の灯でしかないことを、本作は赤裸々に抉り出す[投票(1)]
★4ナイト・オブ・ザ・サンフラワーズ(2006/スペイン=仏=ポルトガル)いわゆるラストベルト的な過疎の地方で孤立無援な獲物ばかりを狙って跋扈する連続殺人犯の話は珍しくないが、この人を人とも思わぬ男の薄ら寒さとどん詰まりな状況の閉塞感は鬼気迫るものがある。ピレネーの集落の時間が止まったような佇まいも独特の情趣を棚引かせる。別々の視座から数度に渡って同じ事件の前後談が語り直される構成は、その都度新たな奥行を付け加えるだけでなく、次なる展開の予断を許さないように爪繰られる[投票(1)]
★5ジュデックス(1963/仏=伊)「或る夜の出来事」という措辞の持つの曰く言い難い響きが木霊する二度の出現#。深層のじじまの中から魔性のものが立ち上がる驚異の瞬間。寝静まった城に夜盗に入った黒タイツの女が復路の門前で狼の一群と遭遇するまで。道端で傾眠する探偵が憑き夜の石畳を戞然と鳴らす辻馬車の到来に驚かされて白タイツの女曲芸師と再会を果たし。目もあやな陰陽二人の対決、三角屋根上のキャットファイトほど、美学的に満足のいく結着はない [review][投票(1)]
★4スタリー・アイズ(原題)(2014/米=ベルギー)虚栄の都ハリウッドで堕落させられる女優のcautionary taleとしては、後年の『ネオンデーモン』もずっとストレートで迷いがない。またわけがわからん秘密結社ネタが絡むのだが、<敷居>を超えるオーディションの場面でのフラッシュの連射の合間に深まる闇から今にも魔物が出てきそうな気配とか(カーペンター風に)、ヒロインが心身ともに壊れてゆく過程の黏稠性とか(ちょっとアジャーニっぽい)、脳裡に記銘される場面も少なくない [review][投票(1)]
★3吸血鬼(1957/メキシコ)これも方々で噂を聞くので名前だけは知っていたが、いざ開封してみると大したことなかった部類に入る。タボアーダの経験もあって期待値が上がり過ぎていたせいもあるが、話自体は、レ・ファニュ直系の英国風吸血鬼談をメキシコの田舎に移植しただけだった。ただ、当地の伝統建築というのか、中庭と回廊のある屋敷のセットや、街道筋から本館までえらく離れていて森深い点に風土を感じた。恐怖演出自体は特筆するものはなかったかな[投票(1)]
★4わたしの名はジン(2013/トルコ=独)あれは、たぶん、ISがモスルを占拠して間もない頃だったと思う。ネット上に拡散されて、ちょっとしたブームになった一枚の写真(**)があった。まだ高校生にもならない少女が、カラシニコフを肩から下げて、若い母と小さな妹たちの後ろから半砂漠の道をとぼとぼと歩いている姿。背後が心配で仕様がないのか、振り返った拍子にシャッターが切られ、その瞬間が永遠になった。 [review][投票(1)]
★5サマ ZAMA(2017/アルゼンチン=ブラジル=仏=スペイン=スイス=米=ポルトガル=オランダ=メキシコ=レバノン)9年のブランクが徒に過ごされたわけでないことを、画面の端々に感じさせる渾身の第四作。セルバンテス、カフカ、コンラッド、バルガスリョサ、雨月、8 1/2、ブンミ翁等々様々な固有名詞が頭を過る。フィクスの画面に周到に配置された人物の間合いが植民地の社会関係だけでなく、単身赴任の役人の精神状態を霊妙に反映しており、先住民の襲撃シーンなど(ブラッド・メリディアン入ってる*)活劇に際しても傑出したセンスを閃かす [review][投票(1)]
★4荒野に生きる(1971/米)ヒューグラスの脱神話化。悩める父を演じて人間味は増したが伝説の西部人のアウラが剥ぎ落とされた。<明白なる使命>の権化のような口吻で捲し立てるJ・ヒューストンが最後の最後でほろりと見せる安堵と羞恥の綯い交ざった笑顔が意想外の清々しさを残す7/10[投票(1)]
★3トゥルース(原題)(2010/露)Gopnik at its finest?ロシア流『ガンモ』あるいは『ウィークエンド』?開幕早々の素敵な予感はあっさり裏切られるが、最後まで文化的な脈絡がよく呑み込めなかった。準主役級の存在感のあるカジモトの唐突な退場と共に別の映画になってしまった感もある。「二十日鼠と人間」的な展開でも期待していたのか?いずれにしろ、叔父との最初の絡み以降は小粒のイミフなキャラの乱立で迷走感が深まり、端的にいってちっとも面白くない[投票]
★3ナイルヒルトン・インシデント(2017/スウェーデン=デンマーク=仏=独)北欧ノワールの影響は覆うべくもないが、亜語の会話とカサブランカの煤けた街並が、使い古された筋立てに南地中海の風情を添える。それがどの程度ムバーラク政権下の縁故主義と職権濫用の実態を反映しているのか知らない。贈収賄に塗れた汚職警察の活写はディストピア映画と見紛うどす黒さだ。素材の時事性、エジプト庶民の怨念が噴き出したような終幕への意気込みは買うが、概して場面設計と人物演出が普通の連ドラの域を出ない[投票]
★5はかな(儚)き道(2016/独)まことに密やかな映画で、息を潜めてないと、せせらぎのように残響する時間がまるごと抜け落ちてしまいそうで。何に光をあてて何を暗中に残すか、一瞬一瞬の決断に対して(唐突な飛躍・大幅な省略がある一方でイコン画のような神妙な引き延ばしもある。つなぎも変則的で前後の脈絡を見失いそうになる)多くの疑問が生まれてはもやもやを残す*。視力を失いつつある父が世界の指標の有り様を説明する下りが主題のひとつを要約してそう [review][投票]
★4メクトゥー・マイ・ラブ カント・ウノ(原題)(2017/仏)セット*!ニース!学生と観光客と地元のすけこましが糸目もあらわに入り乱れる夏のバカンスの昼下がりと夜通しの馬鹿騒ぎの肉迫が生々し過ぎてとても冷静に見ていられない**。やはり、この人の映画は、褐色の肌に映える白い歯の微笑と南仏の抜けるような青がよく似合う。毎回、お約束のように意中の人をいけ好かない仲間に目の前で掠め取られる主人公が、昼過ぎまで悶々として寝床で過ごす下りは世界の映画青年に捧げられている? [review][投票]
★2心臓にナイフ(2018/仏=スイス=メキシコ)開巻からソフトゲイなジャーロといった感じの色彩感と淫猥さで、この組み合わせもなかなかイケると胸を弾ましたのも束の間。じきに園子温のようなアングラ演劇路線で暴走し始め、ついていけなくなる。多くの場面で、エロスと下品を取り違えているのがつらい。呼び物となるはずの殺戮サーカスは、どれもこれも通り一遍で驚きがない。カラックスのような若い才気の迸りが画面やキャラの爆発的な化学反応に見られるわけでもない[投票]
★4ソングス・マイ・ブラザーズ・トート・ミー(原題)(2015/米)王家衛を崇拝する北京出身のアラサー女性が、全幅の信頼を寄せるSOを撮影監督に据えて、地球の反対側で先住民の少年少女を巡る愛と紐帯の賛歌を撮るとどうなるか。エキゾチックな装いと裏腹にこれは二重の意味で破格な映画だ。まるで儒教圏の純愛ドラマのようにしんしんと染み渡る情感の上澄み。風景と人のロングショット、若い男女の睦み合いや沈想に寄り添うアップ(そしてその階調を奏でるオリジナルの弦楽曲)がずば抜けて良い[投票]
★4狂気の愛(2014/独=オーストリア=ルクセンブルク)これが新世紀フェミニスト映画のひとつの到達点!?(呆然) 神経症的な黒い笑いを惹起する男性中心主義的歴史観の揶揄の毒々しさは只事ではない。個人的にツボにはまり過ぎて腹がよじれるほど笑い通しだった。閉塞状況に活路を開くのにむしろ北方のユ−モア(カウリスマキ?)に目を向けたのが吉と出たか。大作家の神話の嘘を暴こうとする目線の仮借なさは、独善的なロマンチズムに耽り勝ちな世の男性諸君にも向けられている?[投票]
★3私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016/チェコ=ポーランド=仏=スロバキア)昨年のニースのテロ事件の後、手口が似ているというのでにわかに国際的な脚光を浴びた。若い女性の単独犯というのも珍しいが、性革命の時代にプラハのゲイシーンで活発だった経歴も異彩を放つ。その点、同様に(二度)映画化されたパパン姉妹のケースと比較してみるのも面白い。あちらは近親相姦、階級社会の搾取という違いがあるが。社会主義政権絡みでは、家族関係、教育事情、労使問題などの面で、チカチーロの事件が頭を過る[投票]
★4ゼイ・ルック・ライク・ピープル(原題)(2015/米)超ローバジェットな侵略ホラーの新たな変種と思いきや、かなり真摯にメンヘラの問題系に取り組んでいて驚いた。 [review][投票]
★5象は静かに座っている(2018/中国)曇り空の街並も人間模様も殺伐として、どこを見渡しても心の潤いなどなさそうなのに、めったにないような瑞々しさが奔騰する瞬間があって、目が洗われるようだった。伏目がちなアップの物思わしげな無言劇が充実している。団地や路地、陸橋など没個性的な都市の舞台袖が霜枯れの抒情を帯びるのは、作家にとってそれらの場所が特別な感慨なしには想起できないほど重みを持つからだろう。たとえそれが地獄の一丁目に過ぎないにしても [review][投票]