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[コメント] 一緒にいて(2005/シンガポール)

メインとなる実在の盲聾作家のパートと並行して点綴される奇人・変人・同性愛者の挿話がほとんど台詞なしで情感の蒸溜に意を尽くした無声映画のような感触。土地柄もあるのかビルの建て込んだ窮屈な構図が水平への意識を遮断して*疎外感を強める。稀に言葉が発声されるときでもそれは一方的かつ暴力的なもので**会話のキャッチボールを成立させない。現代的なコミュ障の希望が光と音を奪われた障害者の身振りによって回復される
濡れ鼠

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







盲聾作家のモノローグに、やけに神という言葉が頻出するのが気になった。キャストにもクリスチャン・ネームが目立つし、この国の華僑はキリスト教徒が多いのかな? その点、最後に自殺未遂して別のパートの主人公を犠牲にしてしまう同性愛者の女の子の扱い方はどうなのかと思った。奇跡的に命を取り留めて病院のベッドで意識を回復するとき、迷いから醒めたように見えるのは邪推し過ぎか?

6.5/10

*人間疎外につながる空間の遮断のテーマは、オープニングショットの八百屋の正面カットを初めとして(表通りの一端に打ちひしがれたようにしてある。後に、主人が鎧戸越しに客とやりとりするのが強調される)、各々の挿話におけるウサギ小屋のような居住空間の描写や公共の場所での戸口や壁、鉄杭?などのモチーフを通して繰り返される。

**迷った子羊揃いの登場人物のなかでも、盲聾作家の自伝の書き起こしの手助けをしている男だけは例外である。「Born Again」な信者だけが持ちうる、すべてを見透かしたような澄徹の眼差し・・・ 

***私は、盲聾になって第二言語を習得した人の姿を初めて見たが、機械音声のような不自然な発音に(ちょうどツインピークスの小人のような話し方)、ああ、この人は英語が実際に発声されるのを自分の耳で聞いたことがないんだと気づくまでに、少し時間がかかった。

(評価:★3)

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